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The Enid(エニド) アルバムレビュー⑤ 80年代アルバム

以前にThe Enid アルバムレビュー②で、
80〜90年代の彼らのアルバムには、はっきりとした“色”があると言ったが、
次はその80年代の色あるアルバムをレビューしたい。

5th
83年の5thアルバム『何かが道をやってくる』は、レイ・ブラッドベリの同名の小説から題名が取られている。
ジャケット画は、ゾッとすることに、右上から半時計回りに3人いる子供が減って行き、むこうから赤い光が近づいてきているというもので、核の脅威を表している。

アルバムの“色”としては、以前のものに比べてロック色が強く、何よりこのバンド初めてのヴォーカルを取り入れた。
印象としては1stアルバムに近いものがある。すなわち、ブラックユーモアの効いた、少し悪魔的なもの。
特に、1曲目の「レインダウン」のメロディは非常に独特で面白い。
6曲目の「ソング・フォー・ヨーロッパ」の最後の印象的なリズムが、ラストの「何かが道をやってくる」に現れるのが、何か意味ありげで良い。
点数は6点。


6th
ファンの間では非常に人気が高い84年の6th「The Spell」は、4楽章からなる大作と、2曲のおまけのような曲からなるアルバム。
全編にわたって、2ndアルバムの終曲「Fand」の雰囲気だが、前作からのヴォーカルも引き継がれている。
非常に充実したアルバムだとは思う。
1曲目「Winter "the key"」は、まさに全曲の基本となる主要テーマが美しく奏でられる、マーラー・アダージェットやドビュッシー風の曲。
2曲目の「Spring」は軽やかで、しかし哀愁を帯びた5拍子の舞曲。
3曲目は長大なヴォーカル入りの曲「Summer」。
注目すべきは4曲目「Autumn "Veni Creator Spiritus"」。これはマーラーの交響曲第10番の第5楽章をものすごくわかりやすくパクっていて笑える。
後半はマーラーというよりはラフマニノフ風。
これはこれで良いと思う!

あとのおまけ2曲はあまり印象に残らないし、なんか変な曲。
6点。


7th

86年の7th「Salome」は、ファンの間でも評価が分かれるアルバムだろう。
このアルバムには、他に無いはっきりとした“色”がある。
民族色の強さ。エキゾチック。
従来のエニドからは想像もできないこの“色”の変化には、批判的な人も多いだろうが、
3rdアルバム『Touch Me』の2曲目「葬列」ですでにその特色は見せていた。

1曲目「O Salome」の朗読のような、しかし色気のあるヴォーカルは非常にクセになる。
3曲目「The Change」も、1曲目をよりエキゾチックに、そして徐々にテンポを増して、最後には狂気に陥ったようになるのも、非常に鬼気迫るしすばらしい。
4曲目(なぜか3曲目と同じトラック)の「Flames Of Power」もまた、お決まりのマーラー風フィナーレでありながら、このアルバムのもう一つの特徴、”テクノ的な現代性”を象徴し、モジュレーションを異様にかけた終わり方をしている。

ただ、このアルバムの短所としては、たった3トラックしか入っていないこと、
そして、3、4曲目がなぜか同じ3トラック目に入っていること。
それを分ければもっと評価が高かったのに、非常に残念。
7点。


8th

8thの『The Seed And The Sower』は、ニューエイジとクラシックを掛け合わせたような作風。
これまでのどの作品よりも複雑で、本格的なクラシックっぽい。
明らかに、中心的なメロディがあり、それは「Earthborn」でエンディングテーマのようにヴォーカル入りで歌われる。
ミュージカルや、ディズニー映画のようであるが、途中はあまりに本格的なクラシック音楽になるので、そうも思えない。

面白いのが1曲目で、同じリズムの繰り返しは明らかに最初は弱起(アウフタクト)の曲のように思えるが、それにメロディが重なってくると、弱起のように思えていた部分が実は1拍目であると認識するようになる。
まさに良く出来たミニマルミュージックだ。

2曲目「A Bar Of Shadow」はアンビエント風、
3曲目「La Rage」でものすごく本格的なソナタ形式のクラシックが聴ける、と前半で期待する。
が、実際にはソナタ形式にはならず、最後は安っぽいニューエイジのようになるのが非常にもったいない。

4曲目は、マーラーが『大地の歌』でみせたような、中国風の音楽。
これはしっかりしている。中国風でありながら、きちんとした後期ロマン派風でもある。まさに『大地の歌』風。
5曲目はすでに述べた通り。
8点。


ここまで3rd、4th以外のアルバムを見てきたが、
フィナーレに来るマーラー・アダージェット風の曲だけを見てきても、そのアルバムに合った特徴を兼ね備えている。
9thでは演説がサンプリングされていたり、と。
エニドは非常に面白い、良く出来た第1級のバンドだということを改めて感じさせられる。

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The Enid(エニド) アルバムレビュー④ JOUENEY'S END 3部作

今日はthe Enidの後期の3作品をレビューしたい。
すなわち『Journey'S End』『Invicta』『Dust』の3つのアルバムで、公式に『JOURNEY'S END 3部作』と名付けられている。
これは何故かというと、この3つのアルバムはアルバム『Journey'S End』のフィナーレ曲「Journey'S End」のメロディを大半の曲で共有しているからだ。
むしろアルバム『Journey'S End』自体は、元の曲があるだけで、そのメロディは他の曲には引用されていない。
しかし、それに続く2作品『Invicta』の9曲、『Dust』の7曲、計16曲中、実に10曲にそのメロディの一部もしくは多くが引用されている。
一種のライトモチーフのようである。
その中には、イントロに少しモチーフが入っているものから、曲そのものが「Journey'S End」の編曲だったりするものと、程度は様々である。
具体的には、『Invicta』からは、
「One And The Many」「Who Created Me?」「Heaven's Gate」「Leviticus」「The Whispering」
と、半分以上、
『Dust』に至っては、7曲中5曲の
「Born In The Fire」「Monsters」「1000 Stars」「Trophy」「Heavy Hearts」と、ほぼ浸食されきっている。

それと同時に『Invicta』の「Who Created Me?」も、
「Villain Of Science」「When The World Is Full」「Heavy Hearts」の3曲に顔を出していることから、
上記の曲に準ずる重要度であることがわかる。

あと、歌詞で「Heavy Hearts」という言葉があらゆるところに出てくるので、それもキーワードなのかも知れない。

11th

まず2010年発売の11thアルバム『Journey'S End』。
これは素晴らしい、大傑作だ。
1曲目の「Terra Firma」は、一見エニドらしくない曲だ。
実はこのアルバムを、最初買う前にレンタルで聴いたのだが、最初は借りたバンドを間違えたと思ったほどだ。
1〜3曲目までは、Enidじゃないみたい。
しかしどの曲も(何かのパクリっぽく聞こえても)類い稀なるセンスで、それぞれのジャンルの最高峰を作っているといった感じだ。
ことに、この1曲目は、同じエキゾチックなリズムのパルスにのせて徐々に盛り上げ、最後にクライマックスに到達させる技術は、さすがとしか言えない。
最後に到達するメロディは、5曲目のクライマックスにも回帰され、マーラーを思わせる。
それに、この形の曲は、3rdアルバム『Touch Me』の2曲目「葬列」から、『Salome』を経由して行き着いた、一つのエニドの曲の頂点だと思う。

2曲目「Terra Nova」は幻想的なアンビエント。

3曲目で、エニドっぽい半音階上行形音階が現れ「おっ、やっとEnidがきたか!」と期待させるが、行き着く先は見事に裏切られ、マーズ・ヴォルタなどの現代のプログレをも思わせるくらいの曲になる。
この裏切り、かっこ良すぎる。

そして、4曲目で同じエニド型半音階上行形の後、正真正銘の“エニド”がやってくる。
みごとで憎い演出だ。

5曲目は、エニドっぽいっちゃそうだが、それよりも元BattlesのTyondai Braxtonの曲を思わせる。
しかし、ピアノが美しく、そこがエニドにしかなし得ないセンスだと言える。
1曲目のクライマックスのメロディが回帰されるところもまた、感動的。

6曲目、表題曲である「The Art of Melody - Journey's End」の、お決まりのマーラー風フィナーレは、恐らくすべてのエニドのこの型の曲の中で、一番の傑作なのではないかと思ってしまう。

このアルバムはどこをとっても傑作だと思う。
点数はもちろん10点である。

12th

次に12thアルバム『Invicta』は、ここでエニドは、後退をみせるように思う。
何に後退したかというと、“普通のプログレ”にだ。
そして、ところどころ、安っぽいミュージカルのような様相も見せる。
ことに4曲目「Execution Mob」は最悪だ。ディズニーの劣化版のよう。

とは言っても、やはりそこはエニド、要所要所で魅力的なセンスを発揮している。
6曲目「Heaven's Gate」は、「Journey's End」の歌詞入り別バージョン。

このアルバムの点数は、6点。

14th

間に13th『The Bridge』という、まさにブリッジを挟んで、そして3部作の最後『Dust』が、2016年に発売した。
このアルバムも『Invicta』同様、ミュージカルじみているのだが、やはりそこはエニド、魅力的だ。

しかし、このヴォーカル、好きじゃない・・・。
ミュージカル向きの。

3曲目の「Monster」、この曲は本当に一押し。和声進行が非常に凝ってて、最後に「Journey's end」の旋律に自然と落ち着くところとか、見事としか言いようが無い。
特筆すべきはこのアルバムの終わり方。
最終曲「Heavy Hearts」は「Journey's End」の編曲版だが、エニドの多くのアルバムでのお決まりの、
マーラーアダージェット風フィナーレでは無い。
最初はその突然の終わり方、決然とした終わり方に戸惑ったが、何度か聴いていると、それもまた、マーラーの5番の終わり方のようで、しかもかっこいい。
これはこれで、良い裏切り方だと思う。
アルバムの点数は8点。

これをもって、エニドの顏、ゴドフリーさんは引退するらしいので、もしかしたらこれが真の意味での“エニド”最後のアルバムなのかもしれない。

The Enid(エニド) アルバムレビュー③ 1st「憂国の星」

enid-1st

1st『In The Region Of The Summer Stars(憂国の星)』だ。

このバンドの初めてのアルバムであるが、よく「未完成の、発達途中のアルバム」なんて言われる。
それは本当にその通りだと思う。
しかし、このアルバムで最も完成している面もある。

エニド=ゴドフリーの求める音楽性の一つの目標となっているのはマーラーだが、
エニドのほぼ全てのアルバムにおいて、マーラーのロマンティシズムはよく表されているように思う。
しかし、マーラーにしてはどれも明るすぎる。闇が全く無い。
マーラーの一番の特徴とするところの悪魔的な諧謔だったり、深い絶望だったり、狂気といったものが、このエニドにはほとんどみられない(もちろんマーラーになり切る必要なんて全く無いが)。

しかし、その“悪魔的な諧謔性”が非常に良い形でみられる数少ないアルバムが、この『憂国の星』である。
ちなみに、このアルバムの曲のタイトルはすべてタロットカードから名付けられている。

始まりの「愚者」は、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番でも始まるのかと思うが、それは冒頭のみで、それ以降は2nd以降で聞き慣れた彼ら風のプレリュードだ。

で、このアルバムの最も評価すべき曲が次の「崩れゆく塔」。悪魔的諧謔と先ほど述べたものの最たる例がこの曲に溢れている。
エキゾチックな旋律は、最後にはカオスな盛り上がりをみせ、この曲1つでこのアルバムの価値がうんと高まっているように思う。

3曲目の「死神」は、哀愁漂うメロディ。

4曲目の「恋人たち」はエニド史上、もっとも美しい旋律の一つではなかろうか。最後に現れるマーラーの『復活』に酷似した旋律は、このアルバムの中心的なメロディで、後にもたくさん出てくる。

5曲目の「悪魔」もまた、「崩れゆく塔」同様に悪魔的諧謔性をみせる曲。終盤には「恋人たち」が回帰される。
多少同じことの繰り返しのごり押しで、退屈。

6曲目「太陽」は、4曲目に現れた『復活』風のメロディの本体のような曲だが、似すぎているゆえに、二流のセンスの無いマーラーとしか思えてしまう。

7曲目「最後の審判」、この曲は、最悪だ。ボレロのリズムに乗って、クラシックで散々使い古された「ディエス・イレ」の引用がいろんなアレンジで出てくる。
はいはい、もういいよ!って感じ。
それに加え、僕自身の経験として、作曲を始めた頃はこの西洋では“不吉”とされているメロディに憧れよく自作に引用していた痛々しい記憶も呼び起こされる。
最後にはまた、『復活』のメロディーと「太陽」が回帰される。まあ迫力はすごい。

しかし、8曲目「憂国の星」を聴いて、7曲目でさんざん演奏された「ディエス・イレ」の意味が少しわかってくる。憂国の星の始まりのテーマが、少しその変奏のように思えるからだ。
まあ、かっこいい曲で、最後はやはりマーラーの『復活』が高らかに鳴り響く。

点数は、6点といったところか。
古くからのエニドファンは「1stがたった6点だと!?」と顏を真っ赤にするかも知れない。
しかし、所詮思い入れの無い人間が聴くと、そんなもんなんだ、ということである。
6点と言っても、iTunesの星5点満点でいうと、5点の状態で争っている感じなので、僕としてはすごくいい中の、下の方、というくらい。

The Enid(エニド) アルバムレビュー② 90年代の2枚

80〜90年代のエニドのアルバムは、アルバムごとにはっきりとした“色”がある。
しかし、素晴らしいことは、あらゆる色に染まろうとも、そこには常に“エニドらしさ”が息づいていることだ。
エニドの音楽は、1st『憂国の星』から一貫したものがある。

今回は、90年代に発表された2枚のアルバムをレビューしたい。

Tripping

94年に出た9thアルバム『Tripping The Light Fantastic』の色は、エニドとしては異色なダンス・エレクトロニカである。

この異色っぷりは、多くの古くからのエニドファンを怒り狂わせたようだが、このアルバム、とても良い出来だと思う。
恐らくこれを聴いて怒り狂ったファンと言うのは、エニドの音楽の表面だけを捉えているような人たちだったと思う。
芯は、エニドの音楽そのものだからだ。

しかも、異色な変わり身の割に、ものすごくセンスが良い。
ことに1曲目「Ultraviolet Cat」のエレクトロニカとしてのセンスは、一際光るものがある。
適度に耳心地が良く、しかもノレるし、幻想的でもある。このセンスは、ゴドフリーならではないか。
そして、この曲にはこのアルバムの最後を飾る「The Biscuit Game」の冒頭のモチーフも偲ばされており、アルバムとしての統一感も演出している。
非常に若いセンスに溢れた良曲だと思う。

2曲目「Little Shiners」は、静かなムード音楽といった感じ。イントロから、5曲目との関連を思わせる。

3曲目「Gateway」は、ダイナミックな迫力のある始まり方。クラシックの形式で言うと、典型的な“ロンド形式”の曲。

4曲目「Tripping The Light Fantastic」はハチドリが忙しく羽ばたくようなフルートと、変拍子チックなリズムで始まる。そのリズムはマイクオールドフィールドを思わせる。
クラシカルでダイナミックな展開をするが、同じ部分を2回繰り返しており、それがやや惰性を感じる。
もう少し音色を変えたり、転調したり、手を加えても良かったのでは?と思う。
途中のメロディは、5曲目で、ピアノでしっとりと奏でられる。

5曲目「Freelance Human」はラフマニノフのピアノ協奏曲のエニド版のような曲。
非常に美しく壮大。前述したように、5曲目のメロディーがしっとりと奏でられるが、あまりの雰囲気の変わりように、同じメロディだと最初は気付かない。

6曲目「Dark Hydraulic」は、「Reverberations」というゴドフリーの曲を基調にしながら、独自のディスコサウンドを加えて大作に仕上げられた曲。導入から、主の速いダンスミュージックな部分に入り、途中でヒトラーの演説などと一緒に盛り上がる、ヴェルディのレクイエムを思わせるクラシカルな部分を挟み、また主のダンスミュージックに戻る。
主のダンスミュージックは、とてもかっこ良く、これまたセンスが良い。
何度も何度も同じビートで繰り返されるにも関わらず、全く飽きがこず、そしてその推進力のまま最後のクライマックスに向かって盛り上がるのは、高揚感を禁じ得ない。
エニド本来のクラシックと、ダンスミュージックとの完全な結合の成功例だと思う。

7曲目は、幅広い壮大な曲での、エニドお決まりのフィナーレだが、このアルバムに相応しい。
6曲目の中間部のヴェルディ風のクライマックスに辿り着いたあと、それこそレクイエムのように暗く終わり、誰かの演説(誰かよくわからない)だけが残る。
ジャケットの絵からすると、このアルバム自体が、なにか反核・反戦の思想を体現したものなのか。
サンプリングされている演説などは、戦争に関する人たちのものなのかも知れない。

点数は9点。


WhiteGoddes
次に、97年に発売された10th『White Goddes』について書く。
このアルバムの“色”は、従来のクラシック志向に回帰している。
シンフォニックといえばシンフォニックだが、どちらかといえばバロック時代の“組曲”の形を取る構成。
それぞれの曲が、バロックの組曲に含まれる舞曲の名前や、クラシックの形式名から取られている。
これはこれで良くまとまっているが“組曲”ならではの、小曲の寄せ集め感が少し残念。

飛行機が飛んで行くような轟音で始まる「Prelude」は、2ndアルバムのそれを彷彿とさせるような、壮大で何かが始まる予感をさせるものである。

2曲目は「Fantasy」。幻想曲という意味だが、クラシックでは“自由な形式の曲”という意味合いが強い。
同じモチーフが、4曲目や最終曲にみられることから、このアルバムの核を成す曲だといえる。

3曲目「Riguardon」は、前半におけるクライマックスの役割を示す曲だと思う。この主題メロディは、9曲目の途中にも回想される。

4曲目「Sarabande」は、幻想的なゆったりとした曲。ギターの使い方がマイク・オールドフィールドを思わせる。

5曲目「Waltz」は、大人しい感じのワルツ。

6曲目「Ballade」は哀愁を漂わせる感じのバラード。

7曲目「Gavotte」はかわいらしく短い間奏曲。

8曲目「Chaconne」は、このアルバム2番目に長い、8分の曲だが、しつこい。特に魅力的でも無いメロディを少し音色を変えて延々と繰り返す。半分の尺でよい。

9曲目「Gigue」は、ゲーム好きは好きだろう。ケルト色の急速な舞曲。このアルバムの動的な役割を一手に引き受け、
この1曲によってこのアルバムは“締まり”を得ている。
この曲が無いと、なんだかぼんやりして和やかな雰囲気で流されるアルバムとなっていただろう。

10曲目「Nocturne」は、アルバム中最も長く、例に漏れず幅の広い壮大なマーラー風フィナーレ。
このアルバムの組曲ならではの“軽い”イメージを払拭する感動的な1曲。

点数は8点。

The Enid(エニド) アルバムレビュー①

新参者ファンですが・・・。

最近、エニドというバンドにハマっている。
ジャンルとしてはプログレとかシンフォニック・ロックとか呼ばれているもので、70年代から現在に至るまで精力的に活動を続けている。
狂信的なファンが根強くいることでも有名なバンドらしい。
昨年は日本でもライブがあり、なんかモー娘。の人も聴きにきてたとか。

その作風は、従来のプログレの基本的な特徴をもちつつ、それよりもさらにクラシックに近いもので、
もっと言えば、19世紀末の音楽を彷彿とさせる。

このバンドの作曲とキーボードを担当する、中心的な存在ゴドフリー氏が大のマーラー好きらしく、ものすごく影響を受けているのがわかる。
アルバム内、時にアルバムの枠を超えて同じモチーフを意図的に使ったり、長大な曲が多いのは、プログレの特徴を継承したというよりは、マーラーの影響が大きいように思えるし、音楽自体マーラーそのもののようなものが多い。
こういったスタイルは、時に「クラシックの真似事」というような批判をされることもあるが、むしろクラシックのイディオムで、それもバリバリ後期ロマン派の語法を使ってロックをやると言うのは、新しくプログレッシブな試みだと言える。

さて、これから何度かに分けて、そのスタンダードなアルバム13枚(再録、ベスト盤、ライブ盤など省く)をすべてレビューしたい。
その上で、10点満点の評価をしたいが、この中で相対的に低い点数になったアルバムも、この世の音楽すべてから見ればかなり上位にあると言って良い。

自分が思いついた順にレビューしていく。
第1回目の今回は、この前置きが長くなったので、1番最初に買って、一番のお気に入りの傑作、
2nd「Aerie Faerie Nonsense(エアリー・フェアリー・ナンセンス)」についてのみレビューしたい。

Aerie Faerie Nonsense

この「Aerie Faerie Nonsense(エアリー・フェアリー・ナンセンス)」は、
エニドの2番目のアルバムにして、最高傑作と名高い作品である。
6曲からなり、そのすべてが名曲だと思う。
それと同時に、モチーフの共有によって、アルバムを通して一つの作品と見ることができる。

1曲目の「Prelude」と2曲目「Mayday Galliard」は繋がっており、「Prelude」の冒頭の倍音列による音型は、4曲目でも顔を出す。
本編の2曲目は、3拍子の舞曲で、実は最初聴いた時、「なんだこのダサい曲は」と思ってしまった。何せ音色がヤマハ音楽教室などのエレクトーン合奏を思わせ、なんかムズムズとしてしまったのだ。
でもよくよく聴いてみると、実は和声的にもいろいろな工夫が見られ、爽やかな傑作だと思うようになった。

3曲目「Ondine」は、懐かしい感じのする、印象派風の美しい曲。
非常に幻想的で、題名の通り、夜の水の上を、水の精がゆらゆらと踊っているような雰囲気。

4曲目「Childe Roland」は、このアルバム中最もロックな激しい曲。ゲーム音楽好きは、この曲は好きだろうと思う。
僕も、最初この曲を聴いて、エニドに興味を持った。
途中に出てくるバスラインの旋律は、5曲目にも顏を出す。

5曲目から、レコードだとB面、ということになるだろう。
この5〜6曲目は「Fand」という一つの曲になっていて、これがこのバンド屈指の名作として知られている。
トラック5にあたる「1st movement」は、このアルバム中最も長い曲。
大きく3部分くらいに分けられるように思う。
1部分目は序章とも言える部分で、1曲目の「Prelude」を思わせるような抽象的な感じで始まり、やがて、1stアルバムの「Falling Tower / 崩れゆく塔」という曲に出てくるギターのリフに乗って、哀愁漂うメロディーが演奏される。
2部分目は主部で、もっとも主要な主題が、あらゆる対旋律を伴って現れる。その対旋律の中には、「崩れゆく塔」のリフや、前述した4曲目「Childe Roland」で予見された旋律も含まれる。
3部分目は、1部分目を盛り上げたような壮大なコーダ。

最後を飾る「Fand - 2nd movement」は、恐らくこのアルバム中最も傑作と言われている、締めくくりに相応しい音楽。
マーラーのアダージェットや、3番のフィナーレを思わせる幅の広い壮大な音楽で、このスタイルは今後のエニドのアルバムにも、ほぼ全編にわたって顏を出す(特に、フィナーレの曲として)。
恐らく多くの人が「エニド」に抱いている印象、そして求めているのは、このタイプの楽曲なのではないかと思う。

最後に、このアルバムに点数をつけるとすれば、
当然、10点満点だろう。

プロフィール

はじめ様

Author:はじめ様
血液型:O型
趣味:音楽鑑賞、読書、ツーリング、心霊スポットめぐり
好きな作曲家:ベートーヴェン、マーラーなど


一応作曲家です。
まだまだ先は長いですね。まるで樹海を彷徨っているようです。
ようこそ、僕の森へ。

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