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The Enid(エニド) アルバムレビュー② 90年代の2枚

80〜90年代のエニドのアルバムは、アルバムごとにはっきりとした“色”がある。
しかし、素晴らしいことは、あらゆる色に染まろうとも、そこには常に“エニドらしさ”が息づいていることだ。
エニドの音楽は、1st『憂国の星』から一貫したものがある。

今回は、90年代に発表された2枚のアルバムをレビューしたい。

Tripping

94年に出た9thアルバム『Tripping The Light Fantastic』の色は、エニドとしては異色なダンス・エレクトロニカである。

この異色っぷりは、多くの古くからのエニドファンを怒り狂わせたようだが、このアルバム、とても良い出来だと思う。
恐らくこれを聴いて怒り狂ったファンと言うのは、エニドの音楽の表面だけを捉えているような人たちだったと思う。
芯は、エニドの音楽そのものだからだ。

しかも、異色な変わり身の割に、ものすごくセンスが良い。
ことに1曲目「Ultraviolet Cat」のエレクトロニカとしてのセンスは、一際光るものがある。
適度に耳心地が良く、しかもノレるし、幻想的でもある。このセンスは、ゴドフリーならではないか。
そして、この曲にはこのアルバムの最後を飾る「The Biscuit Game」の冒頭のモチーフも偲ばされており、アルバムとしての統一感も演出している。
非常に若いセンスに溢れた良曲だと思う。

2曲目「Little Shiners」は、静かなムード音楽といった感じ。イントロから、5曲目との関連を思わせる。

3曲目「Gateway」は、ダイナミックな迫力のある始まり方。クラシックの形式で言うと、典型的な“ロンド形式”の曲。

4曲目「Tripping The Light Fantastic」はハチドリが忙しく羽ばたくようなフルートと、変拍子チックなリズムで始まる。そのリズムはマイクオールドフィールドを思わせる。
クラシカルでダイナミックな展開をするが、同じ部分を2回繰り返しており、それがやや惰性を感じる。
もう少し音色を変えたり、転調したり、手を加えても良かったのでは?と思う。
途中のメロディは、5曲目で、ピアノでしっとりと奏でられる。

5曲目「Freelance Human」はラフマニノフのピアノ協奏曲のエニド版のような曲。
非常に美しく壮大。前述したように、5曲目のメロディーがしっとりと奏でられるが、あまりの雰囲気の変わりように、同じメロディだと最初は気付かない。

6曲目「Dark Hydraulic」は、「Reverberations」というゴドフリーの曲を基調にしながら、独自のディスコサウンドを加えて大作に仕上げられた曲。導入から、主の速いダンスミュージックな部分に入り、途中でヒトラーの演説などと一緒に盛り上がる、ヴェルディのレクイエムを思わせるクラシカルな部分を挟み、また主のダンスミュージックに戻る。
主のダンスミュージックは、とてもかっこ良く、これまたセンスが良い。
何度も何度も同じビートで繰り返されるにも関わらず、全く飽きがこず、そしてその推進力のまま最後のクライマックスに向かって盛り上がるのは、高揚感を禁じ得ない。
エニド本来のクラシックと、ダンスミュージックとの完全な結合の成功例だと思う。

7曲目は、幅広い壮大な曲での、エニドお決まりのフィナーレだが、このアルバムに相応しい。
6曲目の中間部のヴェルディ風のクライマックスに辿り着いたあと、それこそレクイエムのように暗く終わり、誰かの演説(誰かよくわからない)だけが残る。
ジャケットの絵からすると、このアルバム自体が、なにか反核・反戦の思想を体現したものなのか。
サンプリングされている演説などは、戦争に関する人たちのものなのかも知れない。

点数は9点。


WhiteGoddes
次に、97年に発売された10th『White Goddes』について書く。
このアルバムの“色”は、従来のクラシック志向に回帰している。
シンフォニックといえばシンフォニックだが、どちらかといえばバロック時代の“組曲”の形を取る構成。
それぞれの曲が、バロックの組曲に含まれる舞曲の名前や、クラシックの形式名から取られている。
これはこれで良くまとまっているが“組曲”ならではの、小曲の寄せ集め感が少し残念。

飛行機が飛んで行くような轟音で始まる「Prelude」は、2ndアルバムのそれを彷彿とさせるような、壮大で何かが始まる予感をさせるものである。

2曲目は「Fantasy」。幻想曲という意味だが、クラシックでは“自由な形式の曲”という意味合いが強い。
同じモチーフが、4曲目や最終曲にみられることから、このアルバムの核を成す曲だといえる。

3曲目「Riguardon」は、前半におけるクライマックスの役割を示す曲だと思う。この主題メロディは、9曲目の途中にも回想される。

4曲目「Sarabande」は、幻想的なゆったりとした曲。ギターの使い方がマイク・オールドフィールドを思わせる。

5曲目「Waltz」は、大人しい感じのワルツ。

6曲目「Ballade」は哀愁を漂わせる感じのバラード。

7曲目「Gavotte」はかわいらしく短い間奏曲。

8曲目「Chaconne」は、このアルバム2番目に長い、8分の曲だが、しつこい。特に魅力的でも無いメロディを少し音色を変えて延々と繰り返す。半分の尺でよい。

9曲目「Gigue」は、ゲーム好きは好きだろう。ケルト色の急速な舞曲。このアルバムの動的な役割を一手に引き受け、
この1曲によってこのアルバムは“締まり”を得ている。
この曲が無いと、なんだかぼんやりして和やかな雰囲気で流されるアルバムとなっていただろう。

10曲目「Nocturne」は、アルバム中最も長く、例に漏れず幅の広い壮大なマーラー風フィナーレ。
このアルバムの組曲ならではの“軽い”イメージを払拭する感動的な1曲。

点数は8点。

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プロフィール

はじめ様

Author:はじめ様
血液型:O型
趣味:音楽鑑賞、読書、ツーリング、心霊スポットめぐり
好きな作曲家:ベートーヴェン、マーラーなど


一応作曲家です。
まだまだ先は長いですね。まるで樹海を彷徨っているようです。
ようこそ、僕の森へ。

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