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ヴォーン・ウィリアムズの交響曲5

これまで1〜4と交響曲を順番にレビューし、これで5番目。
交響曲第5番をレビューしたい。

そして、僕のヴォーンウィリアムズ熱は交響曲だけでは冷めないようだ。
ヴォーン・ウィリアムズの(聴ける)全作品を、レビューしていきたい。
熱が続く限り。

このように、コンスタントに交響曲を書いている作曲家は、全作品を位置づけしやすい。
「この曲は第4番の頃にかかれたから、この頃の作風だな」みたいな聴き方が出来るわけだ。
先日、コレクターズエディション(30CD)を買ったのだが、それでも全曲は入っていないようで、例えば割と演奏会数が多いブラスバンドの曲《トッカータ・マルチアーレ》なども入っていなかった。
その割に《音楽へのセレナード》などは3バージョン入っていたり、歌曲も、管弦楽伴奏のものとピアノ伴奏のものが入っていたり、充実しているものは充実している。


さて、本題の交響曲第5番は、比較的日本では上演回数が多いらしい。
編成が他より小さい(2管編成)こともその一因だろうが、何より第3楽章が映画音楽のように美しい。
そして全体に、澄んだ何とも言えない美しさ、清らかさが漂う。

この曲は彼自身の歌劇《天路歴程》と非常にリンクした作品で、《天路歴程》の中には、第3楽章や第4楽章の旋律が多く出てくる。
この歌劇は、しばしばヴォーン・ウィリアムズの最高傑作と言われたりもするが、その最高傑作から染み出た一番おいしい部分だけを使ったような贅沢感がある。

そして、この作品は、彼の戦争三部作の中間にあたる。
4番、6番は非常に激しく、いかにも戦争を思わせる緊張感のある曲だが、実は4番は第2次大戦前、第6番は大戦後。
そして、この第5番は、戦時中なのだ。

一番惨劇を間近で見ている時に、最も穏やかで平和な曲を書いた。
それだけで、心に痛々しいものが走る。

戦争中に、戦争の激しさを書かなかったのだ。
これは平和への祈りなのか、音楽による救済なのか。


第1楽章は牧歌的な音楽。ソナタ形式。
始まった瞬間から、何かどこか、この世には無い美しい場所にいるような感覚。しかし、次第に激しくなってきたり、現実をところどころで見せつけられたりする。

第2楽章は、これも牧歌的で、故郷を駆け巡る風のような音楽。これは僕は極めて個性的な、RVWにしか書けない曲だと思う。

第3楽章は、これは皆さんお待ちかねの、この曲の白眉でしょう。
感情的で美しい、愛の音楽。どこか懐かしさも感じさせる。
ジブリの映画、特にもののけ姫とかにそのまま使えそうな曲。

第3楽章は、ある意味では通俗的な、大衆的な音楽だったが、
第4楽章のパッサカリアはもっと神聖な音楽で、最後は天国に召されて行くように終わる。
これ以上澄んだ清らかな音楽は、なかなか無いかも知れない。


演奏は、僕はハンドリー/ロンドンフィルのものが一番美しく感じた。
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非常に牧歌的で録音の音も良い。
始まった瞬間に美しく感じられる。

変わり種に、クーセヴィッキーの演奏があるが、これは別のベクトルで良い!
この曲の持つ、何か霧のかかったようなぼんやりとした感じが苦手な人は、この演奏を聴くと印象ががらりと変わる。
ベートーヴェンと同じような感覚で聴けてしまう!
ただ、それがRVW的かどうか、というと、そうではないかも知れない。


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プロフィール

ボリス

Author:ボリス
血液型:O型
趣味:音楽鑑賞、読書、ツーリング、心霊スポットめぐり
好きな音楽:ベートーヴェン、マーラー、シベリウス、ヴォーン・ウィリアムズ、谷山浩子、マイク・オールドフィールド など


一応作曲家です。
まだまだ先は長いですね。まるで樹海を彷徨っているようです。
ようこそ、僕の森へ。

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