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ヴォーン・ウィリアムズの交響曲9

今日はヴォーン・ウィリアムズ(RVW)の最後のシンフォニー、第九について。

この曲を一言で表現するなら“謎”だろう。
僕も初めて聞いたときは、よくわからなかった。
別に無調でもなく、不協和音だらけというわけでもないのに、わからないのだ。
しかし、何度聴いても、飽きが来ない。
謎を解き明かすまできいてやろう!という気分になる。

そして気付いたら、この曲の虜になっていた。

そういう曲だ。

現に今僕は、おそらくこの曲を一番聴いているだろう。
もっともいろいろな演奏で聴き比べた作品となっている。

全体として、重たい感じ、暗い感じ、というのは見えてくるんだが、未だに良くわからない曲、だ。

第1楽章が、その主な“謎”の原因になっていると思う。
重々しいテーマだが、その音楽が、いちいち分断されていて、一つの“流れ”として聴くことを妨げている。
冒頭の響きも、分断具合も、ブルックナーを彷彿とさせるところがあるかも知れない。
ヴァイオリンのソロやハープの響きが、幻想的な雰囲気をかもしだしている。

第2楽章もまた、個性的な音楽。
緩徐楽章だが、重々しい葬送行進曲と、寂しげで静かな音楽が一緒になったような感じ。ちょっとエキゾチックな感じもする。
この音楽を聴くと、同じく英国のプログレバンド、The Enidの『Touch Me』というアルバムの2曲目を思い出す。
途中でてくるロマンチックな弦の旋律は美しい。

第3楽章がまた面白い。
3本のサックスが蛇のようにまとわりつくスケルツォ。演奏によってはかなりジャズィーに聴こえる。
この曲の謎めいたところは、オケに入るこのサックスのサウンドも一役買っているように思う。

第4楽章は、これもまたつかみ所の無い静かな緩徐楽章だが、マーラー9番のような、ロマンチックなものでも無く、チャイコの悲愴のような悲しみの音楽でもなく、ただただ“謎”な音楽。
フルートが、少し懐かしいような古風な対旋律を奏でる部分もあり、RVWにしか書けない、ラストシンフォニーという気がする。
最後の終わり方なんかは、非常に幻想的で美しい。
マーラーが大海原に消えて行くのだとすると、こちらは異世界のオーロラの中へ消えて行くような、そんな幻想的な感覚がする。

やはり、RVWがのこした白鳥の歌であることは間違いなく、傑作中の傑作だと思う。


この曲のおすすめの演奏は、
何と言っても、スラトキン:フィルハーモニアオーケストラの演奏が良い。
第3楽章の演奏が、まさに神がかっていて、サックスをうまく扱えている。
第4楽章の最後の処理も良い。
これが第一位!

ハンドリー:ロイヤル・リヴァプールの演奏、
アンドリュー・デイヴィス:BBCの演奏の2つは、
非常にテンポの作り方が非常に絶妙で、この点で行くと最も優れている。
しかし、サウンド作りで、スラトキンに一歩届かず、といったところ。

ハイティンクの重々しいテンポは、それも素晴らしい。
現に、今まで謎でしかなかったこの曲を、初めて良いと思えたのは、ハイティンクの演奏だった。

みんな大好きトムソンの演奏は、サウンドは重厚で良いが、テンポ設定等、あまり良くない。
この曲の謎めいた部分には言及がないように思える。

総じて良いNAXOSのバケルス:ボーンマスの演奏は、第2楽章のバスドラの重低音はたまらなくいいが、他はかなりあっさりと進むので、あまり魅力を感じない。

しかし、どれを聴いても、恐らく1回聴いただけじゃわからないだろう。
何度も聴いて、だんだんクセになってくる、スルメソングだ。

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プロフィール

ボリス

Author:ボリス
血液型:O型
趣味:音楽鑑賞、読書、ツーリング、心霊スポットめぐり
好きな音楽:ベートーヴェン、マーラー、シベリウス、ヴォーン・ウィリアムズ、谷山浩子、マイク・オールドフィールド など


一応作曲家です。
まだまだ先は長いですね。まるで樹海を彷徨っているようです。
ようこそ、僕の森へ。

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