FC2ブログ

スクリャービンの交響曲

スクリャービンと言えばピアノソナタを想像する人が多いだろうが、20世紀を代表する交響曲作家の一人でもある。
スクリャービンには、43年間の短い生涯の中で、5つの交響曲がある。
1〜3番までは、極めて後期ロマン派的で、スクリャービンじゃなくても書けそうな曲だ。
しかし、良い曲だと思う。
真にスクリャービンと言えるのは、4番以降のこと。
しかし4番以降も、明らかにワーグナー的で、後期ロマン派の中からは抜け出せていない。

同時代人のラフマニノフが、チャイコフスキーなど自国の作曲家の路線を継承していたのに対して、スクリャービンは完全にワーグナーやリヒャルト・シュトラウスなど、ドイツロマン派の延長にある。

スクリャービンと言えば、“神秘和音”や“色光ピアノ”を使うなど、オカルト思考に傾倒した作品を多く作ったが、それらが使われる前から、ずっとオカルト思考には傾倒していた。
ブラヴァッキーの神智学である。
このころの時代というのは、本当にオカルトブームで、ホルストやバックスが占星術にハマったり、シェーンベルクもシュタイナーに影響された《ヤコブの梯子》を作ったり、サティも薔薇十字団に入っていたりと・・・。

さて、スクリャービンの交響曲の話。

第1番は、規模が大きく合唱付きで、その歌詞から「芸術の詩」なんて呼ばれ方をすることもある。
第1楽章は、ドビュッシーのようで、個人的にはとてもわくわくする始まり方だと思う。
第2楽章からは、わりと“普通の曲”になってしまうが、悪くはない。
第6楽章は声楽が入るが、途中からフーガが始まる。なので、まるで2つの楽章があるように思える。
すこしまとまりがないのかな?と思ったりもする。


第2番は、非常に良い曲だ。
全体に同じテーマが出てきて、チャイコフスキーの交響曲第5番的だが、それらのテーマもチャイコフスキーほどあからさまではない。
第1楽章は、この曲全体の提示部のようで、全曲にまたがる大テーマを、はっきりと提示する。
それに続く第2楽章が、本来の交響曲の冒頭楽章のような役割を果たしているように思える。
第1ー2楽章は繋がっているので、第1楽章が第2楽章の序章のように思えるが、第1楽章はそれだけできちんと完結している音楽でもある。
第3楽章は、この曲の白眉。鳥のさえずりの中、ワーグナー的な夢心地な音楽が奏でられる。鳥のさえずりは、ベートーヴェンからマーラー、そしてさらにはメシアンに至る、自然の象徴のようなものだ。
第4楽章は激しいスケルツォ、そして第5楽章は、第1楽章の大テーマを変形させた単純明快なマーチ。
この第1楽章から明示されたテーマを最後に持ってくるというのが、この交響曲のかっこいいところ。
前期の作品では、最も好きだ。


交響曲第3番「神聖な詩」は3楽章制。
しかし、第2番も、5楽章だが実質第3楽章を中心とした3楽章制のような形を取っていたので、さほどかわらない。
第1楽章は、20分を超える大作。
冒頭の低音金管のモチーフは、これまた交響曲全体で重要な役割を示すものだが、あまり魅力的ではない。
第2楽章も、前作同様、鳥の声が入っている。
第2番と被る交響曲である。しかし前作の方が良い。


交響曲第4番「法悦の詩」は、一番有名だし、一番良い!
1楽章制で、ソナタ形式になっている。
僕はこの曲の良さを、最近になってやっとわかってきた。
最初は、ゲルギエフのハルサイのカップリングに入っていて、何となく聞き流していたくらいだったが、よくよく聞くと、実に個性的でオーケストレーションも色彩的で良い。
後期ロマン派の域を出るものではないにしろ、それは大きく草書的になり、熟しに熟して、腐りかけた甘い果実のよう!
ベリオの《シンフォニア》に素材が多く使われている。


交響曲第5番「プロメテ - 焔の詩」。
これは初めて聞いたのはN響アワーだった。
色光ピアノ、以外に印象に残らなかった。
今聞いても、あまり印象に残らない。
非常に禁欲的で、最後の最後にエクスタシーに達するが、それまでは対して盛り上がらない。
法悦の方が良い曲。


そんなこんなで、僕が好きな順番をいうと、

第1位:法悦の詩
第2位:第2番
第3位:プロメテ、神聖な詩
第5位:第1番

だろう。

スポンサーサイト

comment

post a comment


管理者にだけ表示を許可する

trackback

プロフィール

ボリス

Author:ボリス
血液型:O型
趣味:音楽鑑賞、読書、ツーリング、心霊スポットめぐり
好きな音楽:ベートーヴェン、マーラー、シベリウス、ヴォーン・ウィリアムズ、谷山浩子、マイク・オールドフィールド など


一応作曲家です。
まだまだ先は長いですね。まるで樹海を彷徨っているようです。
ようこそ、僕の森へ。

カレンダー

10 | 2018/11 | 12
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

アクセス数

検索フォーム

ブログランキング

ブログランキング・にほんブログ村へ

人気ブログランキングへ

樹海へ

上の各種バナーをクリックしてね!

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR