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黒澤明 『夢』

黒澤明『夢』

僕が昔から好きな映画に、黒澤明の『夢』というのがある。
残念ながら、僕は黒澤作品は、この作品と『乱』しか見ていないが、
『夢』は、黒澤映画を敬遠している人にも、すんなり見やすい作品ではないかと思う。

この作品は、監督自身の見た夢を題材にした8つ短編からなる。
それらは『夢』というにはあまりに秩序的すぎる感じもするので、かなり脚色されているのだろう。
ドリームというよりはファンタジーだ。

ハリウッドとの共同作品だそうだが、日本の美、幽玄と入ったものを感じさせる。特に最初の2話は。
そして何と言っても、背景の美しさ、時にはCGを駆使した綺麗な風景などが魅力的。
さらに、衣装はワダエミ、音楽は池辺晋一郎で、さらに映画監督のマーティンスコセッシもゴッホ役で出演している。
時に不気味で、時に心落ち着く夢の世界。
あなたもこの世界に浸ってみてはどうでしょう。


第1話 日照り雨
「こんな日照り雨の日には狐の嫁入りがあるから、外へ出てはいけない。」と母親にとがめられるが、まだ幼い黒澤少年は、気付けば森の中で狐の嫁入りを目撃してしまう。狐たちの顔の、狐のお面に似たメイクは、能の持つ縹渺性とも言うべき不安感を引き出す。
物語の最後に、虹の下の狐の住みかに謝りにいくシーンは、その美しさに圧倒される。
場所への移動は、やはり夢のように唐突で、そのあたりはデペイズマンとも言うべきところだろう。

第2話 桃畑
桃の節句、姉は女の子の友達を集めてお雛様を愛でつつお話。そんな中、見たことも無い女の子を黒澤少年は見る。しかし他の人には見えない。
黒澤少年は、女の子に導かれ、ひな壇を模した丘にたどり着く。そこで、お代官様やお姫様に、その場所の桃の樹を切ったこと、人間の手前勝手な考え方などを諭され、泣いてしまう。しかし「この子は最後まで切ることを拒んだ」と許され「もう一度、桃の花を見せよう」と彼らは能を舞う。
最初のほうは少し不気味だが、ファンタスティックでストーリー性のある物語だ。でも、能の舞が長く、恐らく外国人は退屈するんじゃないかな。1話目もそうだけど・・・。
でも、そこが魅力の一つだと思う。

第3話 雪あらし
これまた退屈なお話。ほとんどストーリーというストーリーは無く、場面進行もほとんど無い。
雪山に上る4人の男。意識の朦朧とする中、雪女が現れる。恐らく池辺作曲の、アルペンホルン風の場違いなBGMが、映画の質を下げている気がしてならない。しかし、その場違いさが返って不気味さを増しているのかもしれない。梶井パラドックス。

第4話 トンネル
薄暗い不気味なトンネルから、猛犬が出てくる。それに脅かされ、黒澤はトンネルの中へ。
トンネルの向こう側に出ると、中から大勢の足跡が聞こえてくる。それは、戦死した自分の小隊の兵士たちだった。彼らは「自分が死んだのか?」と尋ね、黒澤は生き残ってしまった罪悪感を晒す。なんだか懐かしい気持ちになる薄暗さ。

第5話 鴉
ゴッホの絵の中に入り込むメルヘンな話。絵の中をさまようCGは面白い。
絵を実写化したロケもすてき。

第6話 赤富士
原発の爆発自己で地獄絵図と貸した富士周辺。富士山は赤く染まり、カラフルな放射能が人々に迫り来る。『赤富士』という日本の美の風景を見事に現代の環境破壊の恐怖と照合させたシニカルな作品。

第7話 鬼哭
荒廃した台地で、突然変異で鬼になったという者に出会う。
そこには突然変異で人間より大きくなったタンポポや、角が生えた人間たちが苦しみ悶える風景が広がる。前作と同じく、人間の地球汚染を取り扱った、ニヒルな作品。

第8話 水車のある村
水車のある村に迷い込んだ黒澤。そこでは、自然の中に溶け込んで暮らす理想の暮らしがあった。
この作品は、安曇野の“大王わさび園”でロケが行われた。
大王わさび園

安曇野にはいつか行きたいとずっと願っている。
なんて綺麗な景色なのでしょう。

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プロフィール

ボリス

Author:ボリス
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趣味:音楽鑑賞、読書、ツーリング、心霊スポットめぐり
好きな音楽:ベートーヴェン、マーラー、シベリウス、ヴォーン・ウィリアムズ、谷山浩子、マイク・オールドフィールド など


一応作曲家です。
まだまだ先は長いですね。まるで樹海を彷徨っているようです。
ようこそ、僕の森へ。

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