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ボスと賢治とアントニウス

僕はヒエロニムス・ボスが好きだ。
ボス 地獄

一見すると、20世紀のシュルレアリスム絵画かと勘違いしてしまうような北方ルネサンスの奇想の画家は、レオナルドと同時期、それどころか少し前の人物だ。
さて、このボスを好きな人の多くが、実は宮沢賢治にも興味を示しているということを、最近知った。
なぜ、共通点のなさそうな彼らが、共にその人達によって好かれるのか。

僕は、時代も国も全く異なるこの2人に、同じ種類の魅力を感じずにはいられない。

まず、2人とも、表面上はメルヘンチックにも思えるその内容として、多くの隠喩、寓喩をはらんでいるということだ。それは、作者が意図的に発したものと、そうでないものがある。
それゆえ、明確な答えが無いものがほとんどだ。
その中で、我々は思い思いの解釈、分析を楽しむことが出来る。
つまり、その両者の、内容の縹渺性に魅力があるのだと思う。
そしてさらに、それを解析したあらゆる著書を読むことも、また2次的な楽しみ・・・いや、むしろ楽しみの醍醐味の一つなのである。
僕は、最近ボスの解読者としては著名な、神原正明にはまっている。
っていっても、まだ1冊しか読んでないけど、その1冊があまりにも面白く、またさらに新しい本を買ってしまった。今、家に届くのを待っている状態。

そして、2人の共通点としてやはり挙げられるのは、その心中に根ざした深い信仰心だろう。
その宗教観が、それぞれの作品に色濃く浮かびあがってくる。
当然、賢治の場合もボスの場合も、解析者はそれ抜きには作品を語ることは出来ない。

そう考えると、ボス好きに賢治好きが多いのも、自然なことだと思う。


さて、そのボスの解析者、神原正明先生の著書で、僕は『イメージの解読―怪物』(共著)の中の、「聖アントニウスと怪物」という項を読んだ。
河出書房さんは、こういうすばらしい本をたくさん出してくれるから大好きだ!

まあ、その「聖アントニウスの怪物」とは、ボスの名作「聖アントニウスの誘惑」を読み解いたものだが、当時流行った疫病“アントニウスの火”との関連を多く指摘していた。
メタファーとしての図像一つ一つを懇切丁寧に読み解いていくそのスタイルは、実に巧妙で爽快だった。

ボスの作品には、たくさんの複合妖怪のようなものが跳梁跋扈するのだが、この「聖アントニウスの誘惑」図には、際立って“魚”をモチーフにした怪物が多い。
神原先生は指摘されてはいなかったのだが、僕はそれが「魚に説教する聖アントニウス」の寓話と関係しているのではないかと思っている。
その寓話は、アントニウスが川で魚たちに説教をしていると、カニや亀まで集まってきて、みんなありがたそうに説教を聞いていたが、説教が終わると、魚は以前のまま大食い、カニは横ばい、結局元の木阿弥だったというユーモラスなお話。
神原先生のその本の読解が正しければ、当然、同じ聖アントニウスにまつわるこの有名な寓話との関連は成り立つだろうと私は思う。
結局アントニウスの周りのあらゆる誘惑者たちは、それぞれ七大罪や、偽聖職者、疫病などの隠喩であれば、この「魚に説教する・・・」を踏まえたうえでの魚のモンスターたちは、それらの俗的な罪を象徴するものに他ならない。
恐らく、そのことは、すでにあらゆる人が指摘し尽くしたものであったから、神原先生も敢えて書こうとはしなかったものだと思う。


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プロフィール

ボリス

Author:ボリス
血液型:O型
趣味:音楽鑑賞、読書、ツーリング、心霊スポットめぐり
好きな音楽:ベートーヴェン、マーラー、シベリウス、ヴォーン・ウィリアムズ、谷山浩子、マイク・オールドフィールド など


一応作曲家です。
まだまだ先は長いですね。まるで樹海を彷徨っているようです。
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